Mac ProからMac miniへ
長年MacPro(Mid2010)を使い続けてきました。
この機種の場合、OSはHgih Sierraが最終となるため、最新のAppleアプリケーションにはインストールができないものも少なくありません。また、日頃使用しているアプリの一部には、このOSに対するサポートを終了してしまったものもあります。
グラボを交換することでOSを何世代かアップグレードできますが、恐らくこの先10年長持ちさせるのは難しいでしょう。
そこで思い切ってM1が搭載されたMac miniを導入することにしました。
たちまち値段が下がった中古市場
キッカケは中古価格の暴落です。
驚いたことに、わずか2年前にリリースされた、初代M1 Mac mini(8GB、256GB)の価格が、5万円台まで下がっていました。(2022年2月初旬「じゃんぱら」調べ)
ここまで急激に下がると、無理してMac Proをアップグレードして使い続ける意味が感じられません。
もし意味があるとすれば、もったいないことと、Mac Proの拡張性、安定性がなかなかに捨てがたいという点でしょうか。あとはデザインですね。
一通りのソフトウェアは特に問題なく起動
入手したM1 Mac miniは2020年発売のエントリーモデルです。メモリーが8GBで、SSDが256Bになります。
Mac Proからminiには、移行アシスタントというユティリティを使えば、システムからデータからすべてが会話形式で丸ごと移行できます。
ただ、これに異常なほど時間がかかります。
途中で止まったような状態になってしまうことがありますが、そのまま放っておけばいいようです。ただ、最初はそれがわからず「異常」と判断して一旦止めてしまったこともあります。
一般的なデータは後でコピーすればいいので、アプリケーションや操作環境に関するデータのみを、有線を使い最速の通信状態にすることで比較的早く移行できます。できるだけ高速のネットケーブルを使い通信速度を100MB/S程度にして、移行時間は約1時間でした。(表示された予測時間です。実際にはその倍以上かかったように思います)
全く新しいCPUなので、動作しないアプリケーションが少なからずあるだろうと覚悟していました。ですが、結果として、使用していたほぼすべてのアプリが今までどおりに使用できることが確認できました。
大してスピードが感じられないクリップスタジオペイント
「CPUがM1になったおかげで、いままでもたついていた描画スピードがスムーズになった」というようなクリスタユーザーのコメントを見かけたことがあります。タブレットの動きに対する画面上のブラシの追従性についてのコメントです。
そのユーザーが使用していたモデルが何であったかはわかりません。このエントリーモデルの場合、MacProでもたついていた描画スピードは、M1であってもやはりもたついています。
MacProに比べればいくぶん改善されているものの、500pxとか1000pxというような大き目のブラシサイズで素早く描いた場合などは、やはりもたつきます。
クリスタが新しいCPUに追いついていない可能性もありますし、パソコンの性能以上にクリスタが肥大化している可能性もあります。アプリの機能が向上し、便利になるのは助かりますが、重すぎて描きにくくなったら本末転倒です。
ワコムのペンタブのドライバーが古いせいかと思って確認しましたが、最新バージョンでした。最適化ができていない可能性もあります。今後ドライバーのアップグレードで少なからず改善されれば嬉しいですね。
ディスプレイ表示がおかしい
動作については、少なからず改善されましたので、これはこれでよしとしようと思いました。
ただ、ちょっと許せないのは、ディスプレイ表示がおかしいことです。
Macと言えばクリエーター向けという認識です。ですが、肝心のディスプレイ表示に不具合があります。これはもうリコールものですね。
最初は、自分の目を疑いました。何度も目をこすりました。ですが、何度見ても画面全体が明らかにボケていると感じられました。
1920 X 1200 ドット表示における不具合
その一例として、Mac Proとの文字表示を比較してみます。
左手には拡大鏡、右手でカメラを支えてシャッターを押すという離れ業をしているため、どうしても手振れが発生してしまいます点はご了解ください。
実際裸眼ではここまで細かく見えるわけではありません。ただ、明らかに何かがおかしい。何が起きているのかよくわからないのですが、とにかく全体の見え方に異常を感じました。
このように拡大してみると違いは明らかです。デジタル接続とはいっても、少なからず滲みは生じますので、Mac Proが完璧というわけではありません。ですが、印象としてはMacProはクリアで、Mac mini M1はボヤッとしています。
それほどシャープな絵を描いているわけでもない私でも、これはヤバいだろ、と感じます。
この問題は、2020年から発生し、現在のOSであるMontereyでも修復されていないようなので、かなり根の深い問題かも知れません。
今使っているディスプレイは16:10で、1920 X 1200が標準の解像度になります。どうもある程度以上の解像度になるとこの現象が発生するようなのですが、いまどきこの程度の解像度は驚くほどのものではありません。作業性を考えたら、これでも足らないくらいです。
「表示」が重なってますが、他の写真も参考に載せておきます。
暫定対策
暫定対策として、解像度を下げて使ってくれとAppleのサポートから提案されているようです。
実際いろいろ切り替えてみると、確かに一瞬きれいに見える解像度もあるのですが、拡大して比べてみると、大きな差があるようには思えません。低解像度にした場合、結局画面の画素と合わなくなるので、やはり全体的にボケて見えます。結局完全な解決策は今のところ見当たりません。
ちなみに、以下は、解像度が小さめの別のディスプレイとの比較です。
上と下は1920X1200ですが、中央は、1680X1050の一回り小さなディスプレイに表示した文字です。Mac miniのボケ具合の傾向はほとんど変わりません。
ちなみに、MacのHDMI出力からモニタのDVIに入力しています。ネットの記事を読む限り、Macの出力がHDMIでも、USB-Cでも結果は同じようです。また、モニター側の入力がHDMI、DPでも変わらないとのことです。
(※2 その後インターフェイスを入手し、USB-CからDP接続したものの、このボケの傾向は全く変わりませんでした)
スリープ解除後、画面設定が変化する
スリープ解除後に、クリスタの画面設定が変わってしまいます。GarageBandでは起きません。
左が正常な状態です。右がスリープ解除後の状態です。
なぜか、メニューやら作業領域の縦方向が短くなり、全部下に下がります。何ですかこれ? 「ワークスペースを基本に戻す」メニューで戻せますが、スリープに入ったら毎回いちいちこれをやらなくてはなりません。
(※2) この現象はHDMIで頻繁に発生していますが、USB-C to DPでの発生頻度は大きく下がりました。(相変わらず発生していますが)
ディスプレイがスリープ中、ポ、ポという音がする
ディスプレイだけがスリープし、本体がまだ動いている状態で、外付けスピーカからポ、ポっという異音が時々発せられます。
何かブツブツつぶやいているようで、これはこれで楽しいのですが、大丈夫か?と感じます。
スリープ解除後など、画面が「砂嵐」
これも、有名な不具合のようですが、何かのタイミングで画面が「砂嵐」状態になります。スリープが解除した際にも何度か生じたように記憶しています。
「砂嵐」でおおよそイメージできるとは思いますが、白黒の斑点状のノイズが画面全体で点滅している状態です。
HDMIケーブルの指し直しで回復します。
(※2) この現象はHDMIで頻繁に発生しましたが、USB-C to DPでは今のところ発生していません。
カーソルの位置が5cm右にずれる現象(※)
一度だけ発生した現象です。
カーソルの矢印でボタンをクリックしても反応せず、その矢印よりも画面上で約5cmほど右側の部分がクリックされるという異常現象が発生しました。
原因も対策も不明ですが、再起動で直り、その後発生していません。
トップメニューバーの異常(※)
これも一度だけ発生してその後起こっていない異常現象です。
トップのメニューバーのひとつをクリックするとプルダウンメニューが下りてきます。
この状態で、押しているプルダウンメニュー以外のプルダウンメニューが、勝手にバタバタと下がったり上がったりと暴れまくるという現象に見舞われました。
何かの拍子に現象は収まり、その後発生していません。
Chromeでクリックが動作しなくなる(※2)
Chromeで全くクリックが効かなくなった現象が一度発生しました。アプリやネットの問題の可能性もありますが、Proでは一度も起きたことのない現象です。
Chromeでダウンロードしたイメージデータの保存先が選択できない(※2)
これもアプリかネットの問題の可能性がありますが、イメージダウンロードサイトでイメージをダウンロードしたところ、データの保存先の選択ができない現象がありました。Proでは一度も起きたことのない現象です。
ファインダーでイメージファイルのアイコンイメージが表示されない(※2)
当初は発生していなかったのですが、ある時点から発生し改善していない現象です。
ファインダーでJPEG等の画像ファイルを表示すれば、アイコンが画像になるはずですが、画像が表示されなくなりました。ただし、カーソルをアイコン上に移動させると(クリックしなくても)真っ白なファイルアイコンが画像アイコンに切り替わります。
内容を確認するために、毎回カーソルをファイルアイコンに移動させています。面倒です。
この現象は、他のパソコンなどでもたびたび発生することがありますので、M1 Macmini特有の現象というわけではないと思いますが、Proで発生した記憶がありません。
容量が少ない
SSDの容量は256GBです。使用するソフトの数も少ないですし、動画のような容量を使う作業も、常に行っているわけではありません。これで十分かと思っていたのですが、意外にもシステムが使用する領域が多く、移管してすぐの段階で、空き領域が20GBほどでした。
それでもそれなりにきびきびとは動いていますが、いつ満杯になるかと思うと気が気ではありません。止む無く一旦データのほとんどを外付けHDDに移しました。今現在は100GBほど空きがあります。
データを外に置きさえすれば、まあどうにかなりそうです。しかし、こんなんで何年持つんでしょうね。
新しいアプリ、できるだけ最新のアップデートが使いたいからこそ用意したマシンです。使えるアプリが何気に増えるでしょうから、必要とされる容量は増えいくことになります。余裕がなければできない作業も出てくるように思います。
ネットでは、外付けのメディアにOSとアプリを入れてシステムを立ち上げたという報告も見られました。気持ちがよくわかります。
発売してわずか2年ほどでこんな状態なんですね。新しいCPUだけに止むを得ない不具合もあるかも知れません。ですが、そんな状態でもビジネスを最優先させるかのような拡張性の乏しさには少々がっかりしています。
まとめ
システムそのものに拡張性がないなら、外付けで拡張するしかありません。
そんなわけで、Mac miniと同サイズ、同デザインの拡張オプションがないかどうか探したら、いくつかありました。そうそう、こんなやつ。デザイン重要ですからね。でも、ちょっとお高いです。
ディスプレイの問題は、絵を描く上では致命的とも言えますが、拡大表示すれば何とかなるでしょう。
根本的な解決は、メーカーでさえ対処できていませんので期待できません。今考えられるアイディアとしては以下があります。
- 外付けのディスプレイカードを検討してみる(元がダメっぽいので、ダメかも知れませんが)
- 他のディスプレイドライバーを使う(そもそも存在するのか、使えるのかもわかりませんし、対策になるのかもわかりません)
- OSのアップデート、アップグレードをひたすら待つ
- Mac Proにパッチを当てて、最新のOSを無理やり動かしてみる
- 一つ前(intel)のMac mini等、他の機種を検討する
- 気にしない。慣れる。(これが一番現実的かも)
- Macをあきらめる。(これも現実的ではあるものの、クリエイティブな作業の場合、Winに致命的な問題があることがままあります)
使い始めてわずか1,2日でこの状況です。今後もいろいろな欠点や不具合が見えてくるかも知れません。(一部の問題は、使用後ひと月ほど経過してから発生したものです)
ボロボロのMac miniにわが身が重なります。
(※)2022年3月16日追記、(※2)2022年4月1日追記