液タブを検討するならiPad Pro(タブレットパソコン)も選択肢に
この3年ほどペンタブを使ってイラストを描いています。このところマンガを描く機会が増え、線画中心の描画が多くなりました。
ご存じのように、マンガの制作では線画が中心になります。時間的にも、線画を描いている時間が大きな割合を占めます。この作業をできるだけ短時間で済ませられないかと液タブの導入を検討しました。
結果として、液タブではなくiPad Proを導入しました。その主な理由は以下のようになります。
- 作画に使っているMacのディスプレイが24インチで、同サイズの液タブで入手できるのはコスト的に海外製のみ。性能がよいとされている日本製(WACOM)は高すぎて対象外(本当に性能がよいかどうかは未確認)
- 海外製の液タブは、視差(液晶面のガラスに厚みがあり、ペンとカーソルの位置がずれて見える)やレイテンシー(描線のペン先への追従性)にかなり不安がある(あくまでも噂、自分では未確認)
- M1タイプのiPad Proの登場で、2,3世代前のiPad Proの中古価格ががくんと落ちた
- iPad Proの12.9インチを縦にした長さと、24インチディスプレイの縦の長さとほとんど同じ(要するに描画時の作業エリアがほとんど同じ)
- iPad Proでは、視差やレイテンシーがあまり問題にならない(問題を聞いたことがない)
- iPad用のクリップスタジオペイントは、さほど高額ではない(年間2800円)
- パソコンとデータ共有可能
- デスクトップと異なり、ベッドやソファーなど好きな場所で、リラックスした状態で描画ができる
プロの方がガッツリと仕事で描画する場合ではなく、あくまでも、素人が趣味で描く場合を想定しています。
線を引くのにペンタブが使いにくい理由
一枚絵のイラストを描く分には、特にペンタブを使いにくいとは感じていませんでした。ペンタブが使いにくい、効率がよくないと感じるようになったのは、線画中心のマンガを描くようになってからです。
ペンタブの場合、自分で描きたい軌跡とペンの軌跡が微妙にずれます。そのため、一本の線を引くのに、何本かの線をトライアル的に引き、じわじわと目的の軌跡に追い込んでいくという少々無駄とも思える動作が発生することがあります。
線が長いほどこの動作が発生しやすく、ペンタブでは想定した軌跡どおりの線を描くのはかなり難しいと感じています。
特にずれが発生しやすいのはタブレットが傾いている場合です。この場合、真直ぐ横に線を引いても、線は斜め上か下に進みます。
もう一つは感覚のずれです。画面を見ながら真横に線を引いているつもりが、実際には、手は斜め上や下、あるいはカーブを描いていることがあります。
それに対して、液タブの場合、見ているままに線が引けるため、こうした「ずれ」は発生しようがありません。
一枚絵のイラストの場合、どちらかというと「塗り」に重きを置いていることもあり、線の精度をあまり気にしていなかったのです。
液タブは大きく分けて2種類ある
液タブと言っても大きく分けて2種類あります。
パソコンの入力端としての液タブと、いわゆるタブレットタイプのパソコン(Windowsの場合は、タブレットPC)です。
クリップスタジオペイント(以下クリスタ)はMacにインストールしていたため、最初は単純にペンタブを液タブに置き換えればよい考えていました。今見ている画面が液タブに表示されることになるため、使用中の24インチ相当を検討しました。
液タブのエントリー版としては、19~22インチ程度が主流で、海外製品なら手頃な価格で入手できます。
ですが、海外製品は、タッチスクリーンとディスプレイ間の距離や厚みがあるらしく、指先やペンの先端とカーソルの位置との視差が大きいと評価されているものが多いようです。
そうなると国産のWACOM一択になってしまいますが、WACOMの問題点はあまりにも高額過ぎる点です。
そこで、Macにこだわらずに、iPadをはじめとするタブレット(パソコン)も合わせて検討しました。
M1 iPad Proの登場で2,3世代前のiPad Proの中古価格が下落
iPadと言っても、描画に使えるiPadは画面サイズからしてiPad Pro12.9インチしか考えられませんでした。
小さな画面、例えばスマホなどで描画するような器用な方もしばしば見かけますが、自分にはどだい無理な話です。大画面で全体像を確かめないでまともなデッサンが描けません。
少し前までiPad Proはコスト的には高嶺の花でしたが、M1タイプが出たおかげもあって、ほんの2,3世代前のモデルの中古価格がガクンと落ちました。
価格的には海外製の液タブと同程度となり、趣味のお絵描きパーソンでもコスト的に手の届く価格になりました。
iPad Pro12.9インチを縦にしたサイズと24インチディスプレイの描画エリアのサイズがほとんど同じ
iPad Proの画面サイズには2種類ありますが、大きい方が12.9インチです。このサイズを縦にした場合、22~24インチの液晶ディスプレイに表示される作業エリアの高さはほぼいっしょになります。
パソコンの場合、左右にツール類を常設するのが一般的なので、実際の描画エリアは、中央の3分の2~2分の1ぐらいが実質的な範囲となります。
並べてみるとわかりますが、iPad Proの画面全体を描画エリアにした場合、表示サイズは24インチディスプレイとほとんど変わりません。
問題になるのは、ユーザーインターフェイスです。iPad版クリスタの操作性が、パソコン版と同等かつ描画に邪魔にならないならば、パソコンに匹敵する描画環境と考えてもいいでしょう。
iPad Proの視差とレイテンシーの問題をあまり聞かない
タブレットの基本性能のひとつに視差とレイテンシーがあります。ここで言う視差は、ペン先と表示面との距離からくるペンとカーソルとのズレで、レイテンシーは、ペンを動かしたときのカーソルの追従性になります。
視差とレイテンシーに関する問題は、iPad Proではあまり聞いたことがありません。実際、数日程使用してみて視差とレイテンシーが気になった場面は一度もありません。
海外製の液タブでは、Amazonのユーザーコメントに視差とレイテンシーの問題がしばしば取り上げられています。
実際に絵を描いていると、何もかも忘れて描くことに集中する瞬間があります。ノリノリになっている状態ですが、このような心境下でペンとカーソルのずれのせいで何度も描き直したり、描いたはずの線が後からノロノロとついてくるようだと、一気にモチベーションが下がってしまいます。
お絵描きパーソンだったら、何らかのシステムのトラブルのせいでやる気をそがれた経験は一度や二度ではないと思います。
液タブには真似のできない、簡単に持ち運べ、どこでも単体で使えることの魅力
実際に使ってみて改めて認識したiPad Proの魅力のひとつが、どこにでも持ち運べることです。当たり前に感じられるかも知れませんが、パソコンと切り離せない液タブにはできない芸当です。
また、iPad Proならどんな姿勢でも描画できます。これも当たり前のことですが、仮に液タブがパソコンと切り離せたとして、膝に載せて絵を描きたいと思うでしょうか?
液タブは結構重量があり発熱も結構なものと聞いています。夏場などは我慢大会になってしまうかも。
まとめ・・・パソコンも液タブも、iPadの形になっていく
デジ絵には装置が必要ですが、その未来像を想像したことがあるでしょうか。
もし、現在のiPad Proの重量や薄さがそのままで、画面サイズが1.5倍から2倍ほどになったらどうでしょう? お絵描きシステムという点で、パソコンも、ペンタブも、液タブもすべてこのシステムに統合されてしまうように思います。
今のところiPad Proの12.9インチでは表示サイズが中途半端です。メニューを大きく表示すると描画エリアは小さくなってしまいますし、表示エリアを確保するためにいちいちメニューを閉じていたら作業性が悪くなってしまいます。
なので、今の時点では、iPad ProはMacと併用しながら使っている状態です。ただし、クリスタのメニューや機能がよりiPadに最適化されたら、すべての作業をiPadに移行するかも知れません。
システムが発展するか、アプリが進化するか。今後どうなるかはわかりませんが、そうした変化を横目に今あるシステムで目いっぱい作画を楽しみたいと思います。
関連リンク
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