今週は、フレキシブルマネキンによる着物ポーズの準備を進めます。
無地の留袖
イラストの参考写真としては、柄のない無地の着物が最適です。本当は振袖が欲しかったのですが、無地で実用的な振袖は見つけられませんでした。
コスプレ用のかなり薄手のものがあるにはありますが、柔らかすぎて原型がうまくつかめないように感じられ今回は入手を断念しました。
今回入手したものは留袖のタイプです。この無地の着物は弔用にも使えるものということで色合いがかなり地味です。ピンクのペールカラーを選んだのですがどう見てもグレイッシュですね。
着付け
マネキンにボリュームがないため、今回はできるだけ厚着をさせようと考えています。
まずは長じゅばんをざっくりと羽織らせてみました。ヒモを使っただけの着付けではどうしても襟元が開き気味になってしまいます。
着付けは難しい、大変だ、一人ではできないと聞きます。プロセスがややこしいのかなと思っていたのですがどうもそうではないようです。
まず、従来のヒモや帯を使った方法では襟元を整えるのがまず難しいと感じました。かなり強く締め付けないと襟元はたちまち緩くなってしまいます。着用する本人一人ではこの締め付けがかなり難しいと思いました。
今なら一人でも手軽に着付けが行えるいくつかのグッズが揃っています。両端にクリップの付いた着付けベルト(一般的にコーリンベルトと呼ばれています)があれば、襟元を緩みなくきちんと揃えることが簡単にできます。さらにその上からベルクロのついた幅広の帯で締めることで全体的に締まった着こなしが可能になります。
上の写真は長じゅばんを着用したマネキンです。左がヒモだけで固定した状態で、右が着付けベルトを使った例です。さすがに専用のベルトは高い効果を発揮します。
襟を挟んだ金属のクリップが着付けベルトの片側の先端になります。もう片側は、八つ口を通し反対側の襟を挟んでいます。
取付位置によっては肋骨に当たって痛いのではないかと感じましたが、案の定実際に使っている方からは「痛い」という意見が少なからず出ておりました。どっちにしろ半襟(はんえり:襦袢の襟の上に飾り用として後から装着(縫い付け)する襟)をつけるのなら、片側にヒモ(ゴムタイプ)を縫い付け、もう片側はできるだけ小さめのスナップでスナップ留めすればよいのではと思いました。
固定ベルトは2セット必要
このような固定ベルトは長じゅばん用と着物用で2セット必要になります。なぜかたまたま所有していた着物セットにはベルトが1セットしかありませんでした。
これらの固定具は着物に比べると安価なものです。安いものなら200円台です。今後も必要になりそうなので、もう一セット用意しておくこととしました。
腕の肉痩せが目立つ
着付けはどうになりそうですが、気になったのが肩から腕にかけてのマネキンの形状の悪さです。洋装でも少なからず影響はありましたが、和装の方が強めに出てしまいます。
両腕を上げたときの肩甲骨~肩全体が持ち上がる状態をシミュレーションするのは容易ではありませんが、この肉痩せした部分を補正するのはどうにかなりそうです。
そこで、まずは厚着で対処できないかどうかを試してみました。
ゴルフ用のアンダーウェアですが、この一枚だけでも効果が感じられます。腕の付け根部分にはもう少し肉を追加したいところですが、肩から乳房にかけての胸部に張りができ、ずいぶんと自然に感じられます。
さらに和装用の下着なども重ね着することでさらにボリューム感が出せるかも知れません。
それにしても、このピッタリサイズのアンダーウェアでさえ、腕の付け根が相当だぶだぶです。マネキンがいかに人間離れした体型なのかがよくわかります。
肉付け
折角なので、肉の乏しい部分に肉づけをしたいと思います。
もっとも肉が乏しい部分が上腕の付け根の部分なので、この部分にのみネット上のサポーター(包帯をカバーする医療用のネットです)をつけ、肉の足らない部分をスポンジで埋めてみました。
とってつけたような処置ですがボリュームとしてはまあまあでしょうか。メッシュが浮き上がって目立ってしまうのではと思いましたが、ほとんどわかりません。
可能なら腕全体を太くできればよりいいのでしょうが、まずはこの状態で、長じゅばんまで着せてみたいと思います。
まずは、アンダーウェアです。だいぶ人間に近くなりました。胴体と腕を結ぶ筋繊維が実現できれば、かなりそれっぽくなると思います。
体と腕を結ぶラインを作るには、腕を取り付けた状態で、腕とボディの間にゴムあるいは布のような素材で橋渡しをすればよいだけなのですが、なかなかそう簡単にはいきません。
このピンクのアンダーウェアを着せる場合など、実際には毎回腕を外しています。仮に筋繊維のしかけができたところで、結局その部分を毎回外して付け直す必要があります。より簡単な方法としては、このピンクのシャツに仕掛けてしまうことでしょうか。今後の課題ですね。
肌襦袢を着せた状態です。腕の付け根部分にはさほど違和感がありません。
長襦袢
次に長襦袢です。こちらも大きな違和感はありません。着物ベルトだけで固定し、シワは後ろに集中させました。これが正しいのかどうかはわかりません。ここはきちんと調べておく必要がありますね。
基本の立ち姿であれば、これでいけそうです。
着物を着せる前に、長じゅばんの再調整を行いました。着物を着てからでは長じゅばんを調整するのは大変らしく、襟元や、左右のバランス、前後のシワを調整しました。
背中側のシワは、できるだけ伸ばすようです。つまりシワは、左右の脇の部分に追い込まれることになります。自動的に肩から脇にかけてシワができることになります。
伊達帯をつけた状態です。また、後ろ襟は長じゅばんの段階で調整しておかなくてはならないようです。この首の後ろ側にスキマを作ることを「衣紋(えもん)を抜く」と称するようです。
着物
着物の着付けで一番大変と感じたのがおはしょりをきれいに作る部分でしょうか。着付けを紹介している着物メーカーのページなどに着付けについての詳細が掲載されているものの、一方からの写真と言葉だけでは意味がつかみにくい部分が多く、結果的に多くの部分が試行錯誤となりました。
最初の難関は裾を揃えることでした。仮の帯として着物の上から腰ひもを巻き裾が地面に水平になるよう調整しました。このプロセスでは「ワンツー腰帯」というベルクロがついたワンタッチ帯があればよかったのですが、今回は用意できず、昔ながらのヒモを用いました。
ヒモの最大の欠点はどうしても緩みが出てしまうことです。このような立体的な調整を施す場面では、伸び縮みする帯が調整しやすいだろうなと思いながら調整しました。また、ヒモの場合は結び目ができてしまうことと、余った部分は垂れ下がりますので、結構始末が面倒です。
ある程度調整ができた段階で、コーリンベルトで固定し、襟元などを再調整しました。
次に、おはしょりの調整です。コーリンベルトの上からさらにヒモをつけ、おはしょりの形を整えました。どちらかというと帯の下にちょっこっと見える前側がきれいに見えるように調整し、シワを横から後ろ側に送りました。
帯は巻いて縛るだけの簡易的なものです。
後ろ側に結び目を取り付けるだけのものです。浴衣のアイリス結びを模したもののようです。
前に見えるヒモは仮留めの状態で最終的には隠します。
まとめ
2022年9月第三週いっぱい時間をとって、できる範囲でマネキンの体型調整を行い、着物の着付けまで進めたいと思います。
和装なので、腕の太さはあまり影響しないと思いますが、腕の付け根、肩の部分の肉痩せした形状は思ったよりも目立つため、このエリアに集中して細工を施したいと思います。