イラスト・メイキングー兵児帯(へこおび)

イラスト制作一般
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浴衣姿の女性を描いたイラストは無数にありますが、浴衣+兵児帯(へこおび)のイラストはあまり多くは見られません。

そこで、当サイトに掲載している写真を参照し、特に兵児帯に着目して自分で描いてみました。

この記事では、浴衣+兵児帯イラストを制作しながら、考えたことや試してみたことを記します。

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● 意外と描画の難しい兵児帯

兵児帯の結びを最初に見たとき、一体どうやって結んでいるのか、さっぱりわかりませんでした。どう見ても、紙をしわくちゃに丸めたような、適当に結んだだけにしか感じられません。

適当に結んで形になるのなら、適当に描いてもそれっぽく見えるのではないか? そう考え、何枚か適当に描いてみました。

スケッチ段階では、何となく描けるような気がするのですが、仕上げる程に実物とは別物になっていきます。描き込むほどに、イメージから離れていくのです。

こいつはちょっと手ごわいかも・・・。

気持ちを引き締め、改めて兵児帯に向き合いました。

◆ 最初に目に飛び込んでくるのが、細かなシワ

兵児帯にもいくつかの種類がありますが、私が描きたかったのは、シワ加工された半透明生地の兵児帯です。

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最初に目に飛び込んでくるのは、この複雑なシワです。

◆ あえてシワを無視する

最初は、ネット上の写真を元に、オリジナルの形状をイメージし、まずはこのシワを再現しようと考えました。

しかし、シワさえ描けば兵児帯になるというわけではなく、結果として、何かが根本的に違う物体を描いてしまっていました。(私自身の技量の問題です)

そこで、アプローチを大きく変えてみました。

  • 無数にある細かなシワを無視して、陰影に着目して、まずはこれを塗りで再現してみる
  • 形は複雑だが、でたらめではない。自分で結んで形を作り、それを忠実に再現する

陰影に着目するということは、イラスト的にはトーンに着目すればいいわけです。そこで、半透明の生地が、一般的な不透明の生地や素材と比較して、特にトーン的にどのような違いがあるかを先ずは考察しました。

  1. 半透明なので、透けている・・・つまり完全な黒はない(というか、下地の影響を受ける)
  2. 半透明なので、ハイライトがない・・・他の生地や素材よりもハイライトの明るさが弱い
  3. 全体的にトーンの幅が狭い

この素材の特徴を図にすると、こんな感じでしょうか。

写真の場合、現物よりもだいぶコントラストが強く出てしまうので、暗い部分がどうしても強めに出てしまいます。

そもそも半透明なので、生地内部にも光が入っていきます。他の生地に比べると、暗い部分の比率は小さいと考えられます。

写真を参照する場合は、以下のようにコントラスト調整してもいいかも知れません。(今回の兵児帯イラストでは、クリスタに写真画像を取り込んで、明るさ・コントラストを調整し、そのトーンを参照しながら描いています)

● 影塗りを再考

いつもの影塗りでは、立体影(光源の向きが明るく、反対側が暗い大きな影)や構造影(モノの形を表現するための形を浮かび上がらせるための小さめの影)のように影を分類して描き分けています。

しかし、兵児帯の場合、シワや形状が複雑すぎて、こうした一般的な形での分類は難しいと考えました。

そこで、今まで分けて描いていた一連の影をひとまとめにして、実物を観察しながら一枚のレイヤーにブラシの濃淡で表現するようにしました。(グリザイユ法の応用です)

ブラシは、「水多め」ブラシを使い、エッジが最大限鋭くなるよう硬さを100%に設定しました。色むらをならす場合や形を整える場面では、同じくエッジを立てたぼかしツールを使いました。

そして、特に暗い部分用にもう一枚レイヤーを重ね、濃い色を置きました。

また、浴衣についても、帯に近い影塗りにしています。(実際には、浴衣で先に試しています)

もし参考になりそうでしたら、以下のページからクリスタのワークファイルをダウンロードいただき、ご参照ください。

● まとめ

考え方が少し変わるだけで、絵の表現は大きく変わる可能性があると聞いたことがあります。

今回の、中間トーンの影のみ「なんちゃってグリザイユ法」を使ったことで、少なからず世界が広がったような気がします。より自由に描けるようになった気が何となくします。

考えてみると、普通に紙に筆で描く状態に近くなっただけなんですけどね。

しばらくは、この表現を駆使して、制作を続けてみようと考えています。

とりとめない内容になってしまいましたが、この記事がお役に立てば幸いです。

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