いくつかのクラウドソーシングサイトに登録しているものの、積極的に販売したいコンテンツがなかったこともあり、全く活用できていませんでした。
ひとりよがりな美少女キャラが売れるとは思えませんし、売ろうとも思いません。逆に売れる可能性の高い「ありがちな」キャラをわざわざ描こうという気にはなかなかなれません。
そこで折衷案として、販売することを十分に意識した上でミニキャラを描いてみることにしました。
ミニキャラの描き方に関する教本
何故ミニキャラかというと、理由のひとつは描いたことがなかったからです。もうひとつは、シンプルなので、ベクトルデータで仕上げられると考えたからです。
ミニキャラ自体十分ポピュラーな存在です。世間的にどうかはわかりませんが、描き手側から見ると、すでにミニキャラというジャンルが確立されているように思えます。
ミニキャラを描く上で、まずは書籍を探してみました。ミニキャラに関する教則本はあまり数がありません。入手したのは、「萌えミニキャラクターの描き方」と「ミニキャラクターの描き分け」の2冊です。
今回活用したのは「ミニキャラクターの描き分け」です。
ミニキャラクターの仕様
書籍で提唱されているミニキャラには、2頭身、2.5頭身、3頭身の三種類です。
書籍の中では2.5頭身に比重を置いて説明しています。2.5頭身が、2頭身のかわいさと、3頭身の自由度を兼ね備えているから、というのがその理由です。
ですが、出品用としては2頭身を選択しました。
2頭身から3頭身に上がるほど、一般のキャライラストに近くなり、描き方が面倒になっていきます。ベクトル化したいこともあり、できるだけシンプルなものからスタートすることにしました。
テンプレート
書籍には、各ミニキャラに関するカラダや顔のバランスについての説明があります。例えば、頭部の縦方向の寸法に対して、目の位置がどの辺になるかなどが簡単な数値と言葉で示されています。
その「教え」に従って描いてみたのが下の絵です。もう、何というか線がたどたどしくて、「こんなの本当に描けんの?」とかなり不安になりました。
それに、教本どおりに描いているつもりがあまり可愛いとは感じられません。

自分のキャラになるまで描くしかない
可愛くないのには理由があります。
教本のキャラは、著者自身のキャラです。著者自身が描いたキャラをベースにその寸法関係をざっくりと測ってまとめたものに過ぎません。
寸法関係にがんじがらめになっていると、どうしても線が死んでしまいますし、そんなキャラに魅力が宿るはずもありません。
寸法はあくまでも目安です。寸法やバランスを意識しながらも、自分自身がよいと感じる線やバランスである程度自由に描けるまでまずは繰り返し描いた方がよいようです。
そうすることで、結果的に良い感じの絵が早い段階で描けるようになると感じました。
自由気ままに描いてみたキャラ
頭部を円の中に入れたり、カラダの幅を頭部の1/2にするなど、基本的な寸法関係はキープしつつ、自由な発想で描いたスケッチです。2頭身なので、頭の長さ:カラダの長さ=1:1です。
フリーハンドの鉛筆描きなので、左右のバランスなどが大きく狂っていますが、デジタル化の過程で修正すればよいと考えました。(もちろん上手い人は、バランスよく描けると思います)
自由に描いた自分の絵なので、教本のキャラとはまるで別物になってしまいました。それでも自分なりのかわいさが出せているように感じられます。ただし、思い付きのデザインなので、売れる可能性は?です。

デジタル化プロセス
最終的にはすべてをベクトルデータ(Postscriptデータ)化しようと考えました。ベクトルデータであることで様々な制約が生じますが、パーツなどを今後流用するには、ベクトル化は必須と考えました。
さて、このスケッチからいきなりベクトルデータ化するのはかなり大変です。なので、一旦クリスタを使いラスターで描き、それを下描きとしてベクトル化しようと考えました。
クリスタでの線画+塗り
スケッチをベースにしてクリスタ上で整理した絵です。通常のプロセスで言えば、ラフに相当すると思います。
クリスタではラスターで描いています。線の幅は筆圧で変化させており、その方が自然な線に感じられます。
クリスタのベクトル線がそのまま他のアプリに持っていければいいのですが、何度か試してみたもののうまくできません。
結局データ変換の際にベクトル線がラスタライズされるため、細かな調整がやりやすいラスターで最初から描くようにしました。

Affinity Designerでのベクトル線化
次にAffinity Designerでさらに形状、線や面の調整を行いながらベクトル線で描き直しました。
通常この手の絵はPNGフォーマットでの納品になります。ただ、用途に合わせてEPSデータでのやりとりも想定しました。
EPSの場合、「透明表現」の機能がないため、折角ベクトルで作っても、「透明表現」を施したパーツは全てラスターに変換されてしまいます。「色なし」、「半透明」などを線や面に指定すると「透明表現」となり、EPSフォーマットでの書出し時にラスタライズされてしまうのです。
注意したいのはグラデーションです。例えば髪の影にグラデーションを用いる場合、黒(50%)→ 透明を合成モード乗算で下塗りレイヤーに重ねると調整もしやすくわかりやすいと思います。しかし透明が使えないため、髪の色よりも濃い色(100%)→髪の下塗りの色(100%)と指定しなくてはなりません。

Affinity Designerは、Adobe Illustratorの競合ソフトと言えるアプリのひとつですが、何といってもまず価格がお安いです。通常価格で7千円ほどで、売り出し時はその半額で購入できます。
ベクトルデータで作画できるDesigherに加えて、Photoshopの競合であるPhotoとInDesignの競合であるPublisherがあり、3つとも金額が同じで、同時期に半額セールが行われます。そんなわけで、セール時に購入し、Mac用にこの三種の神器をインストールしています。
プロの現場でイラストを使ってもらうには、Illustrator形式のデータが「今のところ」標準です。なので、このEPSがIllustratorで読めるかどうかはきちんと確認しておく必要があるかも知れません。
AdobeのCS*も持っているのですが、なんとM1Macにはインストールできません。(手持ちのDVDからはできませんでした)何がなんでも新しいバージョンを使わせたいのでしょうか?
インストールについてはやり方があるのかも知れませんが・・・。
キャラをどう使うかは購入者次第
キャラを販売するには、ココナラやスキマなどのサイトを利用すればいいのですが、その前に購入者の目的や用途を明確にしておきたいと思います。
キャラの用途
主なキャラの用途としては、次のようなものがあるようです。何人かのスキマ出品者の説明文から抜き取りました。
- 個人鑑賞
- SNSアイコン
- TRPG、ゲーム等での利用
- 配信素材
- 動画素材
- 立ち絵
- イメージ画
- グッズの挿絵
- 本の挿絵
出品者自身がきちんと調べたんでしょうね。感心します。購入者自身の目的や用途がクリアになれば、キャラの価値が実感できるでしょう。こうした記載は重要だと感じます。
実はよくわからない利用方法もありました。特にゲームについては全く知識がないため、キャラをゲームでどう使うのだろう?と思いました。
TRPGについて調べたところ、トークができ、自分の分身(アバター)を動かせるゲームのようです。ゲームの内容がある程度わからないと、どんなキャラをどのような仕様で作ってよいかがわかるはずもありません。
ゲームも含め、キャラの用途について、不明な部分がないよう可能な限り調べつくしておきたいと思います。
表情差分
表情と腕については差分を作りました。これも単に、他の出品者が提案しているからという理由で作ってみたのですが、結局用途がわからないままだと労力をかけただけで無駄になる可能性があります。

差分については、一通りの「喜怒哀楽」の表情をスケッチし、共通に使える目や口のパーツをひとつひとつ描きこみ、組み合わせていきました。
ちょっと奇抜と感じられるような表情は止め、キャラのイメージを大きく変えない範囲で10種類程度のバリエーションを作りました。
パーツはもちろんですが、表情のバリエーションについても今後流用がききます。一度ひな形を作っておけば、あとあと多少は楽になるだろうと楽観しています。
まとめ・・・売れてるキャラってどんなキャラ?
ミニキャラ(あるいはデフォルメキャラ)に限って言えば、実際に売れているキャラには以下のような特徴があります。
- 普通にカワイイ
- 値段が手ごろ
- 特別上手というよりは、個性が明確。でも、奇抜というわけではない
- プロっぽい作品は何だかんだ言って良い値段で売れている
- バリエーションの多さと売れやすさの関係は不明
- 小さく使うせいか、線画の線の幅が太くはっきりしている絵が意外と売れている(劇画っぽい雰囲気)
ざっと売れている作品の傾向をピックアップしてみました。絵のテイストやクリエーターの個性もあるため、一般的な傾向とは言い切れませんが、参考になると思います。
状況をにらみつつ、一歩一歩進めていきましょう。
今回制作で使った本はこちら↓
こちらは電子書籍を読みました↓ Kindle unlimitedにて無償で読めます。
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