イラストの場合一般的に衣服のシワは省略して表現されます。
実際、写真や実物の通りにシワをびっしりと描き込んでしまうと、イラストっぽくありません。
ですが、「シワは省略する」ものとわかっていても、どこのシワをどのように省略したらよいのか、はっきり言ってよくわかりません。
そこで、「シワの省略」に関する記事を「女の子の服イラストポーズ集」で見つけましたのでご紹介します。
シワの分類
「女の子の服イラストポーズ集」では、シワを次のように分類しています
シワの形態による分類
- ひっぱりジワ
- ゆるシワ
- ちぢみジワ
衣服のシワは「人が衣服を着ることで布が引っ張られたり縮んだりしてできるもの」としています。この観点から、上記3つの形態を基本のシワとしています。
シワを生み出す要因
「布を引っ張ったり縮めたりすることでできる」シワですが、布の伸び縮みを発生させる要因があるはずです。
その要因について、以下の3点が挙げられています。
- 体型(胸のふくらみなど・・・)
- 服の構造(服の作りの上でできているシワ、フリルやゴムの入った部分など)
- 動き(腕や脚を動かしたときにできるシワ)
体型にピッタリ合っていて、動きの際も伸び縮みするような素材であれば、原理的にはシワはできません。例えばタイツのような体型にピッタリ張り付いた衣類の場合、ほとんどシワは出来ません。
実際の多くの衣服は、カラダをゆったりと包むようにできており、上記の要因などで必然的にシワが発生します。
省略するシワ、省略しないシワ
書籍では、「体型」「構造」「動き」のそれぞれについて、服のどの部分にどのような「ひっぱりジワ」「ゆるシワ」「ちぢみジワ」ができるかの説明があります。この部分については、また別の機会に取り上げたいと思います。
結果として、省略しないシワと省略するシワを以下としています。
- 体型でできるシワ
- 服自体についているシワ
- 動きによってできるシワ
- 上記以外のシワ
- 細かなシワ
例
例として、写真のトレースから、デフォルメしてイラストキャラ体型を描く過程におけるシワの省略例がありましたので、ご紹介します。
(トレースフリーの書籍なので、写真以外の線画をラフにトレースしました。)

それぞれのシワよく観察し、その成り立ちを見極めたうえで取捨選択しましょうということですね。
例では、「体型でできるシワ」「もともと服にあるシワ」「動きでできるシワ」は残し、それ以外のほとんどは思い切って省略しよう、とあります。
一部、上記のカテゴリに入らないものの腕の部分のシワを残しています。これは「ゆるシワ」に近いシワでしょうか。細い腕をたっぷりした袖が囲んでいることで構造的にできるシワです。
このシワ線がないと、腕が太く見えたり、パンパンに膨らんだ不自然な袖に見えてしまうかも知れません。
まとめ
書籍の内容に沿って、「イラストに描くシワ・描かないシワ」の例をご紹介しました。
あくまでもひとつの考え方なので、必ずしもこれが正解というわけではないでしょう。
例えば、コミックなどではかなり省略されるシワも、一枚絵などでは、結構細かく描きこまれることがあります。上記の分類には出てこない細かなクセジワなどはマンガで描かれることは少ないと思いますが、イラストでは、アクセント的に描かれることもしばしばあります。
ただ、省略したいのにどう省略したらよいかわからなかったり、絵的にうるさかったりした場合に、ひとつの省略法として用いてみてはどうかと思います。
イラストを描く上で、結構迷いが生じる「描くシワ・描かないシワ」ですが、なかなか基準らしい基準が見当たらないものです。こうした考え方があることを知っただけでも、ちょっとホッとしますよね。
コメント