タイトル「タブレットのペン先が減らないペーパーライクシートを探す」は今回で3回目の記事になります。
ここで一旦実験内容をまとめ、その結果からご提案したいと思います。
タブレットのペン先が減らないペーパーライクシートおすすめ
タブレットのペン先が減らない(減りにくい)ペーパーライクシート(代用品)として、次の硬筆習字用下敷きをすすめします。
おすすめシート
- 共栄プラスチック株式会社(ORIONS)カラーソフト透明下敷き シボ(小)面
※ シボのサイズが面によって異なります。シボの小さい側を使います。
使用上の注意
このシートをペーパーライクシートとして使用する場合には注意点があります。
- ペン先を強い力で押し付けないこと
このシートは、若干の柔らかさをもった下敷きです。鉛筆やボールペンを考えればわかりますが、先端を強く押しつければ、紙は破れそうになります。これは、スタイラスも同様で、強く押しつけると素材が凹み、ペン先が素材に引っかかりやすくなります。
シートに求める要件(イラスト描画)
タブレット用の保護シートで、特に書き味(描き味)の良さを謳っている製品は「ペーパーライクシート」と銘打たれています。
果たして、「ペーパーライク」に描き手は何を求めているのか?
イラストを描く上で、このペーパーライクシートに求めたい要件を改めて考えてみました。
ペーパーライクシートに求める4つの要素
イラストを描く人が、ペーパーライクシートに求めるものは次の4点と考えました。
- ある程度の摩擦がある(ツルツルしていない)
- 静止状態で、ペン先が動かない(動きにくい)
- 線を引きたい方向にスムーズに真直ぐ(意図したとおりに)引ける
- 止めたいところでピタリと止まる
どうでしょうか。求めるものは、大体この4つに入るのではないでしょうか。
現状のペーパーライクシートとは
この4点のうち、1、2、4だけなら、ゴムシートでもいいはずです。ですが、ゴムシートだと摩擦が強すぎて、引きたい線が思うように引けません。
では、本物の紙ならいいでしょうか。タブレットの上に、普通に紙を置いて描いてみるとわかりますが、結構ごつごつしていて決して描きやすいわけではありません。タブレットのペンを使うことで、描き手は鉛筆やペンで紙に描く以上に高い精度でペン先をコントロールしているように思えます。
一般の「ペーパーライクシート」は、1~4を実現するために、紙以上に平滑な面と、適度な摩擦を与えるための微細なヤスリ状のシボが施されています。
求める要素 → 素材の性質
求める要素に関連する素材の特性をあげたいと思います。
ペーパーライクシートに求める4つの要素を3つにまとめ、それぞれの要素を素材の特性に分解してみました。
ある程度の摩擦 | 表面のシボの状態、素材の柔らかさ、抵抗感 |
ペンを止めたときに、ペン先がぶれない | 表面のシボの状態、素材の柔らかさ、抵抗感 |
意図したとおりにスムーズに線が引ける | 表面のシボの状態、抵抗感 |
感覚的ではありますが、「ペーパーライク」感は、表面シボ+素材の柔らかさ+抵抗感(摩擦)のバランスで成り立っていると考えられます。
レーティング
シートに求める4つの要素を加味して、一般のペーパーライクシートと各種硬筆用下敷き、手製のペーパーライクシートにて評価を行いました。評価項目を次のようにしています。
評価項目
- 価格
- 入手性
- 製品の安定性
- 素材の硬さ・柔らかさ
- 表面の凹凸
- 抵抗感(表面の滑りにくさ・滑りやすさ)
- ペン先の摩耗
評価
一般のペーパーライクシート | 三菱ユニ硬筆習字用下敷き(NK-150) | 共栄プラスチック株式会社カラーソフト透明下敷き(CSS-B5-Y) | 株式会社ソニックやわカタ下敷き(SK-4081-T) | 手製(プラ板+マットシート) | |
価格(実売価格) | 高価。1枚1000円前後が多い(ー2) | 138円(+2) | 176円(+2) | 231円(+2) | 安価(+2) |
入手性 | 主に通販で購入(+1) | 文具店で入手可能(+2) | 文具店で入手可能(+2) | 文具店で入手可能(+2) | プラ板は100均にて、シートは印刷ラベル(+2) |
製品の安定性 | 安定している(+2) | 安定に疑問(0) | 安定に疑問(0) | 安定に疑問(0) | 安定に疑問(0) |
素材の硬さ・柔らかさ | 硬い(+2) | 柔らかい(0) | やや硬い(+1) | やや硬い(+1) | 硬い(+2) |
表面の凹凸 | 細かいシボ(+2) | かなり細かいシボ(+2) | シボ(小)側はかなり細かいシボ(+2) | シボが粗い(0) | シボはかなり細かい(+2) |
抵抗感 | 適度な抵抗感(+2) | 若干滑りやすい(+1) | 細かなシボと適度な柔らかさで適度な抵抗感(+2) | 適度な抵抗感(+2) | 滑りやすい(ー2) |
ペン先の摩耗 | 激しく摩耗する(ー2) | 摩耗が少ない(+2) | 摩耗が少ない(+2) | 摩耗が少ない(+2) | ある程度摩耗する(ー1) |
レーティング | 5 | 9 | 11 | 9 | 5 |
考察とまとめ
結果的に共栄プラスチック株式会社カラーソフト透明下敷きがトップレートとなりました。ただし、評価項目の選択や評価には少なからず主観が入っていますので、その点はご留意ください。
使用時間が未達
最終的には、長時間の使用で問題がないかどうかを確認します。三菱ユニNK150は、30時間以上使ってみて若干の滑りがどうしても気になり使用を中止しています。
共栄プラスチックのカラーソフト透明下敷きは、使用時間がまだ20時間を満たしておらず、引き続き確認を行います。
評価内容に関しての補足
評価項目の4:素材の硬さ、柔らかさ、5:表面の凹凸、6:抵抗感の3つには関連性があります。また、素材が硬ければいいとか柔らかければいいという訳ではなく、バランスの良いものが評価が高いと考えます。表面の凸凹と抵抗感も同様です。
最終的には、レーティングの結果が、評価者が感じる「描き味、描き心地」に一致しているかが重要と考えます。
その点、今回選択した製品は、バランス的に最も優れていると判断しました。
参考データ(シート表面の拡大写真)
タブレットシートの描き味・描き心地を視覚的に評価・確認できないかと考え、各シートの拡大写真(150倍)を撮影したものです。素材の柔らかさは写真ではわからないことなどから、画像での評価や判断は難しく、あくまでも参考としてご覧ください。
タブレットシート(硬筆用下敷きを含む)拡大写真

株式会社ソニックやわカタ下敷き | リバーシブル下敷き |
手製(プラ板+マットシート) | 三菱ユニ硬筆習字用下敷き |
共栄プラスチック株式会社カラーソフト透明下敷き | ワコムPTK650シート(一般のペーパーライクシートに相当) |


摩耗したシート(ペーパーライクシート)
摩耗する前(左)と摩耗した(右)ペーパーライクシートの表面の拡大写真です。摩耗すると、印刷された(吹き付けられた)シボがほとんどなくなっているのがわかります。

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