タブレットのペン先が擦り減らないペーパーライクシートってないの?

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「『ペン先が消耗しにくい』ペーパーライクシートを貼ったところ、描きやすくはなりましたが、以前よりも減りが早いような気がします」

「タブレットのペン先を金属製に変えたら、ペン先が全く擦り減らなくなりました。でも、ペンに負担がかかって、ペンが壊れてしまいました」

「タブレット、ペーパーライクシート」とか、「ワコム、ペン先、減らない」などのキーワードで検索すると、描きやすさを求め、ペン先の消耗と戦うイラストレーターたちのこうした叫び声が目に飛び込んできます。

この2年、ペンタブを使ってイラストを描いてきましたが、私も同じ悩みを抱えてきました。

一部のペンでは、ペン先だけを金属にすることで問題解決ができているようですが、それ以外のペンについては、満足な解決策が見当たりません。

ペンの替え芯についてはメーカー品をそのまま使うとしても、もう少しペン先が擦り減らないペーパーライクシートというものはないのでしょうか?

そこで、一般的に市販されているペーパーライクシートの代用品になりそうなものを探してみたところ、小学校の硬筆習字で用いられる下敷きに行き着きました。

この記事では、塩ビ製の硬筆習字用下敷きをペンタブに応用した事例をご紹介いたします。

ペーパーライクシートはまるで「紙やすり」

イラスト、特に線画をしっかり描くには、タブレットの表面は紙に近いのが理想です。

タブレットの表面がツルツルした状態では、ペン先が上手くコントロールできず、思うような軌跡で線が引けないからです。

使用しているペンタブレットはワコム製のPTK-650という機種です。

元々、このペンタブには紙の摩擦に近いざらざらしたシートが貼り付けられています。

触ってみると、「紙」というよりも「紙やすり」のように感じられます。

そのせいか、ペン先は異常な早さで擦り減ります。作画の内容にもよりますが、大体10時間程度でペン先の形が変わってしまいます。

こうなると、描いていてひっかかりを感じてしまうため、まだまだ使えると思いながらも止む無く交換します。替え芯は決してお安くはありません。

まだまだ使えそうなペン先もあります

今改めて見ると、まだまだ使えそうなものもありますが、交換した時点では、間違いなく描きにくいと感じられたのです。

「ペーパーライク」ってどういう状態のこと?

ペン先も擦り減りますが、ざらつき加工されたタブレットシートもまた擦り減ります。

最初のシートは、気がついた時にはツルツルになっており、ペン先のコントロールが思うように効かない状態になっていました。

もともと器用ではないため、道具だけでもよい状態にしておきたいと思うものの、ペン先とシートの両方を頻繁に交換するとなると、経済的な負担が小さくはありません。

そこで改めて、「ペーパーライク」について考えてみました。

何枚かの紙が重ったスケッチブックに絵を描くときには、硬いプラスチックの下敷きなどは使いません。

紙表面のざらつきに加え、重なった紙の柔らかさが鉛筆の先を支えてくれることで適度な「抵抗感」が生じ、それが描きやすいと感じられるからでしょう。

つまり、「描きやすい紙」とは、

描きやすい紙 = 適度な抵抗感 = 表面のざらつき + 表面の柔らかさ

と考えられます。

つまり、ペンを動かしたときの、「適度な抵抗感」は、「表面のざらつき」と「紙の柔らかさ」の組み合わせによるものと考えられます。

ペーパーライクシートは、この「適度な抵抗感」を得るために、表面にざらつき加工を施して「紙っぽさ」を出しているわけです。

適度な抵抗感 = 表面のざらつき + 表面の柔らかさ

「適度な抵抗感」を「表面のざらつき」だけで実現しようとしているため、かなり無理をしていると感じられます。

そこで、「表面の柔らかさ」に着目してみました。

ざらつきの少ない「硬い表面」を「柔らかい表面」にするだけで「適度な抵抗感」が得られるのではないか。

うまくすれば、ペン先の擦り減りを抑えることができるのではないか、と考えてみました。

小学校で用いられる硬筆用の塩ビの下敷き

そこで、子供たちが幼いころに使っていた塩ビシートをタブレット上に置いてみました。

この時使用したペン先は「ポリアセタール」という標準タイプのものです。

ペン先には次のようないくつかの種類があります。

  1. ポリアセタール:標準芯と呼ばれている黒いプラスチックの芯
  2. フェルト:やや摩擦が感じられる柔らかなフェルト芯
  3. エラストマー:ペン先がゴム素材の芯。ペン先で摩擦を作り出しているため、タブレット面がツルツルでもある程度の摩擦が得られる

この3種類がワコムの代表的なペン先になります。

ペン先「ポリアセタール」+塩ビ製の硬筆習字用下敷きの組み合わせで、ペン先がシートに吸い付いたかのようなモッタリとした感触が得られました。

3の「エラストマー」というペン先を使ったことがある方であればわかると思いますが、この「エラストマー」に似た抵抗感が感じられました。

硬筆習字用下敷き uni NK-250

量販店などで比較的容易に入手できる硬筆習字用下敷きは、2種類あります。ひとつはuni NK-250という、厚みが1.8mmのものと、uni NK-150という厚みが0.8mmのものです。どちらもサイズはB5になります。

それぞれの数字は、品物の金額です。NK-250の定価が250円で、NK-150が150円です。

一般的なペーパーライクシートの金額に比べても、気が抜けるほどお安い価格です。

uni NK-250 をワコムタブレットに載せた状態

NK-250は厚みがあるため、かなり柔らかく感じられます。

ペン先はシートに吸い付くような感触が得られ、安定したペン運びができます

ただし、表面のつや加工のせいでやや滑りやすく、その点はちょっと残念なところです。

硬筆習字用下敷き uni NK-150

NK-150をワコムタブレットに載せた状態

NK-250の表面がツルツルに加工されているのに対して、NK-150の表面はマットです。

マットではあるものの、特にざらついた感触はありません。あえてこのようなつや消し加工を施したのか、素材が薄いので、あえて無加工のままなのかはわかりません。

実際にペンを走らせると、それなりに柔らかく、NK-250同様にペン先が吸い付くように感じられました。また、表面がマットなこともあり、NK-250よりも滑りにくいと感じられました。

使用20時間後のペン先の状態

NK-150をタブレットに置いた状態で、20時間程度使ってみました。

20時間使っても、特にペン先の擦り減りは感じられません。次の写真は、実際の20時間後のペン先の状態です。

NK-150を敷いて20時間使用したペン先

ペン先が全く減っていないわけではありません。

小さなプラスチックのペン先を塩ビシートの表面に何時間もこすりつけているわけです。いくら表面が柔らかいとはいえ、全く擦り減らないわけはありません。

ただ、ペーパーライクシートと擦り減り方がまるで違います。

こちらは、従来のざらざらしたペーパーライクシートで20時間使ったペン先の状態です。

ペーパーライクシートで20時間使ったペン先の様子

元々丸かったペン先の頭がごっそりなくなっているだけでなく、縁には、やすりでこすったようなバリが発生してます。このバリは、写真ではわかりにくいのですが、白っぽい色をしています。

片減りしやすいことで、ほんのちょっと擦り減っただけで、引っかかりやすくなってしまいます。

硬筆習字用下敷きの場合、擦り減りが少ないことに加えて、先端の丸い状態を維持したままマイルドに擦り減っていくようです。

つまり、ゆっくりと削れてはいくものの、描きやすさはそのままキープされるわけです。

柔らかなシートがペン先を包みこんでくれるため、筆圧が分散され、スパッとカットしたような先端の削りが起きないのではないかと考えられます。

タブレット表面が硬い場合と柔らかい場合のペン先とシートの模式図を示します。あくまでも状況から推測したイメージであることをお断りしておきます。

硬い表面と柔らかい表面のペン先にかかる圧力の模式図

硬筆習字用下敷きをペンタブに用いた場合のメリット・デメリット

硬筆習字用下敷きをペンタブに使った場合のメリット・デメリットを上げてみます。

硬筆習字用下敷きをペンタブに用いた場合のメリット

  • 価格が安い
  • ホームセンターの文具売り場等、比較的どこでも手に入る
  • ペン先が減りにくい。特に片減りしにくい
  • ペン先の交換頻度が少なくなり、経済的
  • シートの柔らかさにより、適度な抵抗感が得られる

硬筆習字用下敷きをペンタブに用いた場合のデメリット

  • サイズが選べない
  • やや厚みがある
  • タブレットによっては、使えなかったり、反応しにくくなるものがある
  • 人によっては「柔らかさ」に違和感を感じる(エラストマータイプのペン先が気持ち悪い人はダメかも)
  • 特に固定するための仕組みはないので、両面テープなどで自分で固定が必要

まとめ

まとめです。

硬筆習字用下敷きをタブレットシートとして用いることで、ペン先を「エラストマー」にしたような「抵抗感」が得られました。

また、一般のペーパーライクシートに比べて擦り減りは少なく、先端の丸みがある程度維持されるため、多少擦り減っても極端に描きにくくはならないことがわかりました。

もし、この下敷きを試してみたいということであれば、適度な柔らかさがあり、滑りが抑えらえたマットな表面のNK-150がお勧めです。

硬筆習字用下敷きはあくまでも筆記具用です。タブレットに用いた場合、現時点ではまだわかっていない問題が発生する可能性もあります。

また、一般的な「ペーパーライク」の感触とは別物です。描きやすいと感じる人もいれば、描きにくいと感じる人もいるでしょう。

最初は違和感を感じましたが、先端にゴム素材のついた「エラストマー」タイプの替え芯の感触が好きだったこともあり、塩ビ製の下敷きの吸い付くようなもったりした感触はすんなりと受け入れられました。

この記事がお役に立てば幸いです。

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