デジタルイラストの分類

イラスト制作一般
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画材を用いて制作する絵画は、用いられる画材や技法で確立されたジャンルがあります。対するパソコンで制作するデジタルイラストは、基本的にはリアルな絵画表現をシミュレートしながらも、従来の技法にとらわれずに自由に制作することが可能です。

そんなデジタルイラストにも、いくつかの典型的な表現方法があり、ここでは「塗り」と「線」に着目して分類してみました。

ほんのちょっと前まで、デジタルイラストはプロのイラストレーターにしか描けないものでした。当初はPhotoshopが主に使われていたのですが、ソフトの金額からしてもアマチュアにはなかなか手の出るツールではありません。

デジタルイラストがぐっと身近な表現になったのは、使いやすく、安価なお絵かきソフトが一気に増えたおかげだと思います。ソフトを開発してくれた方々には本当に感謝しています。

同時に、数多くのお絵描き教科書が出版されるようになりました。特に「塗り」に関する教科書では、今主流の「塗り」がカテゴライズされ、それぞれの作画プロセスが詳細に説明されています。

デジタルイラストの「塗り」事典

SB Creativeが発行している デジタルイラストの「塗り」事典では、デジタルイラストの「塗り」を次のようにカテゴライズしています。

  • アニメ塗り
  • ブラシ塗り
  • 水彩塗り
  • 厚塗り
  • 発光塗り
  • ギャルゲ塗り
  • 透明水彩塗り
  • アナログ塗り
  • 和風塗り

それぞれの詳細については、書籍をご覧になっていただきたいと思いますが、その名称からおおよそどんなものかは想像できるかと思います。

デジタルイラストの「用途」だったり、「技法」だったり、「〇〇風」だったりと分類の仕方はバラバラですが、より広くカバーできるように特徴的な絵がピックアップされています。デジタルイラストはそれほど多岐に渡った自由な表現であり、まだまだ成長し続ける分野であることをうかがわせます。

キャラ塗り上達術

インプレスが発行している「キャラ塗り上達術」では、デジタルイラストの「塗り」を次のように分類しています。

  • アニメ塗り
  • ブラシ塗り(2種)
  • ブラシ塗り+厚塗り
  • 水彩塗り
  • 水彩+厚塗り
  • 厚塗り(2種)
  • ギャルゲ塗り
  • 宝石塗り

デジタルイラストの「塗り」事典とほぼほぼ重なっていますが、ジャンル分けがより複雑化し、2種の塗り方を組み合わせたハイブリッド技法もいくつか登場します。

デジタルイラスト全体を俯瞰してみる

デジタルイラストを描いている人であれば、多かれ少なかれ「こんな絵が描きたい」という絵がいくつかあるかと思います。あるいは、憧れたり、気になったりしているイラストレーターがいるかも知れません。

ただ、一般に「イラスト」と呼ばれる世界は、上記の書籍でカバーされている表現よりも広いものです。そこで「表現」を切り口として、デジタルイラスト全体を俯瞰してみたいと思います。

線画のあるなし

デジタルイラストの多くは、線と塗りで表現されますが、塗りのない線画だけの絵や、コミックのような線画+トーンのような表現もあります。木版画や切り絵、影絵などは、線画+面、あるいは面のみで表現されています。

油絵やガッシュなどは通常線画を描きません。透明水彩にしても、線は当たりであり、強く主張してはいません。

線画のあるなしは絵を特徴づける大きな要素のひとつであることは確かです。そこで、線画のあるなしでデジタルイラスト全体を分類したいと思います。

タッチのあるなし

もう一つの分類要素として、タッチをあげたいと思います。例えばアニメ塗りのようなプレーンな面で表現されるものは、タッチなしとします。水彩や油絵などのブラシのタッチが丸々見えるような絵はタッチありとします。

タッチありなしの中間的な表現として、グラデーションがあります。プレーンな面であっても、点描のような細かな表現や、パターンを張り付けることで面に複雑な文様を施したような場合もタッチありなしの中間的な表現と考えていいと思います。

デジタルイラスト分類ポジショニングマップ

デジタルイラスト全体を俯瞰するために、線画のあるなしを横軸に、タッチのあるなしを縦軸にポジショニングマップを作り、代表的なカテゴリーについて分類してみました。

ポジショニングマップ ーデジタル イラストの分類

ポジショニングマップにより縦軸、横軸で囲まれた4つの面ができます。

  • プレーンA:線画あり+タッチなし
  • プレーンB:線があり+タッチあり
  • プレーンC:線画なし+タッチあり
  • プレーンD:線画なし+タッチなし

いわゆる今主流のデジ絵のほとんどはプレーンA、B、Cに配置されます。

ではプレーンDにあるような、「線画もタッチもない」絵がマイナーかというと決してそんなことはありません。WEBにある説明用だったり、ハイテク感が感じられたりするイラストにはプレーンな面で構成された表現がよく用いられます。

こうしたイラストは、絵画というよりもデザイン的なイラストに分類され、アドビのフォトショップよりもアドビのイラストレーターが得意とする分野になります。

キャラを中心に描いていると、どうしてもクリップスタジオなどのデジタルイラストツールが主体となってしまい、こうした表現があることを忘れてしまうのですが、むしろ「イラスト」と言えば、この表現を思い浮かべる人も少なくないと思います。

線画のないプレーンな面だけの説明用イラスト例

広く深いイラストの世界

デジタルイラストは始まったばかりのジャンルです。今後もまだまだ新しい表現が生まれてくる予感がします。

より自分らしい表現を目指すのであれば、今まで目を向けていなかった表現方法にも着目したいところです。

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